写真・図版

 東京都内の一室。ドキュメンタリー監督の笠井千晶さん(48)が21年間取材し、撮りためた映像を文字に起こしていた。この2年間、続けている作業だ。

 死刑囚として東京拘置所に収監されていた袴田巌さん(86)を、姉秀子さん(90)が面会に行く様子、47年7カ月ぶりに釈放され浜松市の秀子さん宅で暮らす姿。映像は、400時間分にのぼる。

 袴田さんの半生をたどる2時間弱のドキュメンタリー映画を作るための作業で、A4判で約2800ページになったデータを元に、構成台本を書く作業を進めている。使う映像は7、8時間分まで絞り込んだ。3月末に完成させ、秋以降に公開する予定だった。

 だが、再審開始の可否について東京高裁が13日に決定を出すことになり、完成時期と重なった。

 当初のスケジュールを変えるかどうか。「巌さんや秀子さんが元気なうちに、なるべく早く上映したい」と迷った。が、「2人が今の生活を続けられるかは、今回の決定にかかっている」。「最大の山場」を盛り込むため、完成を今夏まで延期させる決断をした。

元静岡放送記者 記者クラブのチラシをきっかけに

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